lapse of memory -boukyaku-

houzuki

毎夏頂いていたホオズキ。
この、ホオズキは魔除になり人が通るところにぶら下げるといいそうです。
とあるお寺で作っておられます。

そのお寺の尼さん、いや御前様と呼ばなければいけないんだった。
その御前さんとは、年に2回のお付き合い。お寺で、表千家(茶道)を教えておられて、姉が数年間お世話になったのがきっかけ。この御前さん、初めてお会いした時から年齢不詳でかなり高齢な方だったのですが、老いを感じさせない不思議な方でした。

昔から変わらず、土間で薪を使い炊飯・料理。冬に伺うと、土間で七輪を焚いて暖をとっておられる。そんな、生活が老いない秘訣なのかもしれない。

毎年お正月が近づいてくると、電話でいくつかの物の配達依頼があり、
夏の終わりには、ホオズキができているから来て下さいと連絡が、決まって入っていた。
ところが、今夏は連絡がこないので、いつも渡している物を持って連絡もせず突然伺ってみた。あいにく、御前さんは留守だったのだけど、毎回お会いしているお付の方が留守番をされていた。

「こんにちは、ご無沙汰しています、**です。」と挨拶をしたところ。
「どちらさんでしたか。」と・・・完全に失念しておられる様子だったので、
毎年渡している手土産を、「御前さんに渡せば、お分かりになると思いますので。」と
無理矢理、手土産を渡して帰った。

数日後、御前さんとお付の方から、丁重な御礼と失念していた事へのお詫びの電話があった。御前さんも失念していた様子。ホオズキの事は完全に忘れておられる様子だった。
さて、年末は連絡があるだろうか。毎年、頂いていたので特に有難くもなく、邪魔臭いとさえ思う事もあったのだけど、これからは、もう無いのだなと思うと寂しいものがある。
色々な事を忘れていく気持ちというのは、どんな感覚だろうか。

私も行く道である。

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